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人と出逢い、技の文脈を知る旅【クリエイター向けモデルツアーin高岡(2019.11.22-23)レポート#1】

2020.01.27 UP

気持ち良い秋晴れの週末に、クリエイター向けモデルツアー「Creators Meet TAKAOKA」を実施しました(主催:高岡市)。広くものづくりに携わる人に向けて、高岡の職人技や歴史文化を紹介。街や伝統産業の活性化を目的に、新しい出会いや協業の可能性を探ってもらうことを目的にしたものです。

10月に渋谷ヒカリエで開催したトークイベント(>>詳細<<)で参加者を募集。プロダクトデザイナー、ソフトエンジニア、ロボットの素材開発、クリエイティブディレクター、百貨店の新規事業企画など、さまざまな分野でものづくりや企画に関わる12名の方に参加いただきました。

 

11月に渋谷ヒカリエで実施したイベントの様子。

 

今回のツアー参加の目的は、協業先を探してという直球のところから、東京と二拠点生活のための場所を探している、高岡の職人のファンであるといったところまで多種多様。なかには、すでに工芸ハッカソン(>>詳細<<)を機に、高岡の職人とのものづくりを始めているという方もいました。

ときに真面目に、ときに笑いをまじえながら進んだ濃密な二日間の様子を、今回のツアーに同行していただいたライターさんのレポートで紹介します。

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01.高岡の職人たちの人を惹きつける魅力

結論からいうと、参加者たちに何よりも響いていたのは高岡の職人の姿だった。

「率直に言うと、一緒にものづくりをしたいと思いました今はハードウェアでもソフトウェアでも簡単にコピーできてしまいます。その点、職人技にはオリジナリティがある。たとえば、ただ漆を塗るだけでは付加価値はつきませんが、工芸の技が機能と結びついた時に大きな差別化ができるのでは(ロボット開発・ソフトエンジニア)」

今回うかがった工房は、高岡銅器の能作、シマタニ昇竜工房、momentum factory Orii、高岡漆器の武蔵川工房の4つ。

それまで世になかった錫100%の製品開発で飛躍的な成長を遂げた能作では、ベテランから若者まで様々な世代の職人がいきいきと働く姿を目の当たりにした。照明やサイン計画といった細かなところまでデザインがいきとどき、整理整頓された工場の中を歩いていると、工場や職人という言葉のイメージがみるみる更新されていく。

シマタニ昇竜工房はお寺等でつかわれる「おりん」をつくる鍛金工房。日本に10人も満たない「おりん」職人の島谷さんは、「おりん」を楽器としてとらえ海外の展示会等で提案しているという。専門機関に分析を依頼したところ、音色の心地よさには科学的根拠があることもわかった。島谷さんの穏やかな話しぶりからはおりんづくりへの深い愛情が伝わってきた。

「職人さんの仕事には価値の高さゆえの壁みたいなものを感じていたんですが、おりんを楽器としてとらえたらどうなるかとか、要素を分解していって、自分も可能性を考えて良いんだと思いました。自分で勝手に作っていた壁をとりはらってもらった感じがします(広告会社・クリエイティブディレクター)

金属の化学変化を応用した着色の工房momentum factory Oriiでは、実際に金属の色を変化させる体験をさせてもらった。近年は薄い銅板への発色法を確立させ、建築やインテリアの領域に大きく躍進しているOrii。溌剌とした折井さんのたたずまいは、生業を持つ人ならではの魅力に満ちていた。

「金属の自然な変化を製品にするという姿勢に共感して、製品作りを一緒にやりたいと思いまし た。デザイナーに対してもオープンな姿勢が感じられて嬉しかったです。依頼の前に技術を知っておくことの重要性も実感しました。(デザイン会社・プロダクトデザイナー)」

武蔵川工房は螺鈿(らでん)細工を特徴とする高岡漆器の工房。0.1mmの薄さの貝を扱う繊細な職人技には誰もが思わず息を飲んだ。貝はとても貴重なものだから、作業の中で出る端材も全てとってあるという武蔵川さん。さっそく素材開発に関わる参加者が、ぜひ用途を検討してみたいとサンプルを持ち帰る場面もあった。

伝統の技を継ぎながら新しい商品開発、新たな領域に取り組む姿勢。何より「ものづくりが好きだ」と伝わってくる温度感。

「自分の手でものを生み出す職人は格好いい」

「一緒にものづくりがしたい」

「また会いに来たい」

工房に足を運ぶごとに、参加者たちの高揚感がひしひしと高まっていくようだった。技術はもちろん重要だけれど、人を動かすのは人なのだ。

「職人さん達とは都内の展示会等での面識がありましたが、ホームでお会いすると、ずうっと格好いいですね。やっていきたいことへの想いがあって、伝統的なことから脱皮していきましょうっていう姿勢があって。ぜひ何らかの企画を具体化したいと思います(百貨店・新規事業企画)」

(同行ライター・記)

 

>>ツアーはものづくりを支えるファクター、行政やお寺の見学も!後半へ続きます。

人と出逢い、技の文脈を知る旅【クリエイター向けモデルツアーin高岡(2019.11.22-23)レポート#2】

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【information】

Creators Meet TAKAOKA
◎日程:2019年11月22日(金)~23日(土)
◎実施場所:富山県高岡市
◎参加人数:11名
◎訪問先:能作(鋳物)、ウィン・ディー(デザイン・モックアップ製作)、シマタニ昇龍工房(鍛金)、富山県総合デザインセンター/高岡市デザイン・工芸センター、武蔵川工房(螺鈿細工)、momentum factory Orii(金属着色)、金屋町、飛鳥山善興寺、勝興寺、雨晴海岸、山町ヴァレー


 主催:高岡市

企画運営:一般社団法人 富山県西部観光社 水と匠 https://mizutotakumi.jp/

 

「高岡とつながる人々」尾崎迅さんのインタビュー第2弾。工芸ハッカソン/LEXUS NEW TAKUMI PROJECT

2019.12.03 UP

高岡のものづくり環境や滞在情報、クリエイターのみなさんのインタビューやコラボレーション事例などを紹介する「高岡とつながる人々」。

高岡に移り住んだクリエイターとして、金工作家・尾崎迅さんのインタビュー第二弾として、コラボレーション事例「工芸ハッカソン/LEXUS NEW TAKUMI PROJECT」を掲載しました!

 

工芸ハッカソン/LEXUS NEW TAKUMI PROJECT

「高岡とつながる人々」高岡に移り住んだクリエイター、尾崎迅さんのインタビューを更新!

2019.11.30 UP

高岡のものづくり環境や滞在情報、クリエイターのみなさんのインタビューやコラボレーション事例などを

紹介する「高岡とつながる人々」。

高岡に移り住んだクリエイターとして、金工作家・尾崎迅さんのインタビューを掲載しました。

高岡に移り住んだクリエイター 尾崎迅さん

クリエイター向けモデルツアーin高岡(11/22〜23) 参加者募集中!【申込締切:10/25】

2019.10.18 UP

伝統の技から最新の産業まで、ものづくりの盛んな富山県高岡市。その歴史・文化・精神風土も含めた魅力を伝え、ものづくりに携わる人・関心のある人たちとの新しい出会いや協働の可能性を求め、11月22日(金)~23日(土)の1泊2日でクリエイター向けモデルツアーを実施します。

働き方やライフスタイルの変化の中で、地域に関わるクリエイターたちが増えているなか、地域がクリエイターの創造性を拡張し、クリエイターが地域のものづくりを革新するといった、地域とクリエイターの良い関係性が高岡市でも生まれ、多くの成功事例を生み出しています。

モデルツアーでは、高岡市の伝統から先端までものづくり工房・工場やその背景となっている歴史文化を訪ねます。

 

★訪問先候補:能作(金属鋳物メーカー)、シマタニ昇龍工房(鍛金)富山県総合デザインセンター/高岡市デザイン・工芸センター、武蔵川工房(螺鈿細工)、金屋町、飛鳥山善興寺(民藝ゆかりの地)、ほか

 

下記概要をご参照の上、ご参加を希望される方は、下記フォームよりお申込みください。

 

・日程:2019年11月22日(金)~23日(土)
 ・実施場所:富山県高岡市
 ・募集人数:5名
 ・対象:ものづくり、建築、デザイン、ファッション、音楽、写真・映像、企画・プロデュース等幅広い分野のクリエイターおよび地域のものづくりに関心のある方
 ・参加費:10,000円(高岡までの交通費、現地交通費、宿泊費、食費、施設拝観料等含む)
 ・締め切り:2019年10月25日(金)

【申込みフォーム】  https://forms.gle/mTURpgWd7a3nA4eeA


*お申込み多数の場合は、選考をさせていただき、10月末頃に結果をお知らせいたします。
*参加にはアンケート回答、SNSでのツアーレポート発信などのご協力をお願いいたします。

◎問合せ:一般社団法人 富山県西部観光社 水と匠   info@mizutotakumi.jp
https://mizutotakumi.jp/

 

 

市外のクリエイターの方に向けた情報ページ「高岡とつながる人々」を開設しました!

2019.10.07 UP

このたび、こちらのウェブサイトでは市外のクリエイターの方々に向け、

高岡のものづくり環境や滞在情報、クリエイターのみなさんのインタビューやコラボレーション事例などを

紹介する「高岡とつながる人々」ページを開設しました。

 

コンテンツは順次増やしてまいります!ぜひご覧ください。

高岡とつながる人々

音楽ライブから坊主カフェまで。国の重要文化財で行われる、まちと人を巻き込む寺社フェス! 9/29 雲龍山 勝興寺(高岡・伏木)

2019.09.27 UP

 本堂ほか12棟の建物が国の重要文化財に指定される高岡・伏木の名刹「雲龍山 勝興寺(しょうこうじ)」で、仏教や音楽、食、ものづくりに親しむイベント「ふるこはんフェス」が2019年9月29日(日)に開催されます。

古くは『万葉集』の代表的歌人・大伴家持が赴任した越中国庁が建っていたと推定される場所にある勝興寺は、15世紀以降は真宗王国・富山を代表する寺院として、地元の人々には「ふるこはん」として親しまれてきました。

 

上から勝興寺山門、勝興寺本堂

 

20年余りの期間をかけて行われている「平成の大修理」(1998〜2021)も終盤を迎え、現在はかつての壮麗な姿を取り戻しています。ここで昨年から富山県内の若手僧侶、地域住民や大学生が一緒に企画しているのがこの「ふるこはんフェス」。

 

昨年の様子

 

今年も実施する音楽法要。雅楽、シンセサイザーの調べに乗せた声明で、地元の僧侶約30名が奏でる荘厳な響きは必聴です。

 

2回目となる今年は、FUJI ROCK FESTIVALなど多くの大型フェス等に出演し木村カエラとのコラボなどでも活躍するPredawnのライブを夜の本堂で行うほか、僧侶と気軽に話ができる坊主Café&Bar、未公開部分を含む寺院内ツアー、約30名の地元僧侶が集結しシンセイザーと雅楽の調べに乗せて読経を行う音楽法要、僧侶DJによるパフォーマンスなど、パワーアップした企画が盛りだくさんです。

 

僧侶DJ

Predawn

 

年に一度の特別なイベントに、ぜひ足をお運びください。 

 

◎「ふるこはんフェス」特設サイト https://www.furukohanfes.com/


◎ Facebookページ  https://www.facebook.com/FurukohanFes

 

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第2回「ふるこはんフェス」DAY & NIGHT

   ■日時:2019年9月29日(日) 11:00〜20:00

■会場:伏木・雲龍山 勝興寺(富山県高岡市伏木古国府17-1) 

■内容:坊主Café&Bar、音楽法要『宗祖讃仰作法(しゅうそさんごうさほう)』、音楽コンサート(出演;Predawn、onpun)、僧侶DJ、勝興寺見学ツアー、フード&クラフトマーケット、ワークショップ、ふるこはんスタンプラリーなど

■主催:高岡市歴史文化推進協議会

■共催:高岡市/高岡市教育委員会/高岡商工会議所/近世高岡の文化遺産を愛する会

■協力:浄土真宗本願寺派高岡教区 寺族青年会 鸞翔会

■企画運営:ふるこはんフェス運営委員会、(有)エピファニーワークス 

■お問合せ:高岡市歴史文化推進協議会事務局(高岡市教育委員会生涯学習・文化財課内) TEL:0766-20-1453

 

※特別開放日につき当日のみ工事協力金(通常大人500円)は不要

※コンサートは投げ銭スタイルです。お気持ちでお納め下さい。