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産地の技の集積を知る Creators Meet TAKAOKA 2020 キックオフツアーレポート

2020.11.12 UP

立山連峰がくっきり望める秋晴れの気持ち良い一日。Creators Meet TAKAOKA2020のキックオフとなる高岡ツアーが開催された。

東京でのPRイベントとクリエイターを招いてのモデルツアーを実施した昨年。今年はもう一歩踏み込んで、実際にクリエイターと高岡の工房が協同し、作品や商品、素材をつくりだす、新たな展開をはかっていく。

今回の参加者は5組。うち2組が昨年度にひきつづいての参加、3組が新しい参加者だ。はじめに産地の全体像や風土を体感してもらおうということで、ツアーでは参加者全員で全ての協働先工房を巡った。

 

能作 × Hamanishi DESIGN

まず一行が向かったのは、高岡銅器を代表する鋳物メーカー「能作」の工場。鋳物場での鋳物砂を使っての鋳造工程に、研磨場での加工作業を見学させてもらう。なぜその作業をするのか、道具の配置や書いてある言葉の意味は…各々から発せられるクリエイターならではの質問に、お互いに刺激しあう場の空気が早々に醸成されていく。

案内してくれた磯岩篤さんは、商品企画を主に担当。昨年までは能作の東京事務所で働いていたが、高岡の人の魅力が忘れられず、今年から高岡に戻ってきたという。

一方の「Hamanishi DESIGN」のプロダクトデザイナー鎌田修さんは、昨年につづいての参加者。ちょうど社内で燭台をつくろうという企画がもちあがったときに、今企画を知った。

「昨年のツアーが強く印象に残っていて、燭台なら能作さんとやりたいと思っていたところだったんです。イメージもかなり明確に描けていて。室内で過ごす時間の質にこだわる人が増えた、今の感覚にフィットしたものができる気がしています」

すでに商品化への道筋もみえているようで、昨年度の種まきが見事に結実していくような嬉しさを感じる。出会いから生まれる、化学反応のようなプロダクト。おそらく私たちも手に取れるだろう製品を楽しみに待ちたい。

 

漆器くにもと × MOLp

つづいては漆器の企画問屋である、「漆器くにもと」へ。山町筋の土蔵を改装した店舗内には、高岡でつくれる様々な技法の漆器製品が並ぶ。いわゆる螺鈿細工である青貝塗りと彫刻塗りなど、代表の國本耕太郎さんが高岡の漆の技法について教えてくれた。

協働先となる「MOLp(Mitsui Cemicals Oriented Laboratory)」とは、三井化学社内のメンバーによって立ち上げられた有志グループ。主力製品であるプラスチックへの課題意識を背景に、素材が持つ感性的価値に着目し、社会に表現していく活動を行なっている。

3年前には表参道で展示会を実施し、太陽の光を受けると色が変わる糸を発表。展示会には様々なクリエイターが訪れ、アンリレイジ、ルイヴィトン、フェンディといった大手メゾンがMOLp発の素材をつかった製品を世に送り出した。

今回はMOLpから4人のメンバーがツアーに参加。そのうちの1人、宮下友孝さんは去年からの参加者だ。

「そのものをつくることで、職人さんの利が大きくなるような、強く動機付けできるものを考えたい。あとは、万年筆のような、樹脂製だけれど消耗品ではない、長く愛されるものをつくりたい気持ちもあって。形はまだ見えていないけど、想いは色々あります」

すでに来年3月にはMOLpの展示会が表参道で予定されている。今回の協働の成果も、そこで発表されるとのこと。思わずまだ見ぬ漆にまつわる新素材が、世界に羽ばたく未来を想像してしまった。

高岡漆器の勇助塗り、井波彫刻の欄間など、随所に名匠の技がうかがえる「土蔵造りのまち資料館」を見学した後は、山町ヴァレーにて昼食。「かねまつ食堂」さんの今ツアーのための特別魚づくしランチをいただいて、実は海も近い、高岡の風土を感じる時間になった。

 

竹中銅器×TAKASHI TESHIMA DESIGN

「竹中銅器」は、高岡銅器産地で一番の規模を誇る企画問屋。90年代から建築家やデザイナーとのコラボ製作をはじめた、産地のさきがけ的存在でもある。店内は様々な製法の銅器製品が揃う、さながら見本市のような空間。

「新しい角度からの商品開発がしたい」とデザイン部長の喜多(きた)登さん。

「うちはいわゆるファブレスのメーカーです。自社工房を持たないかわりに、様々な技術を持つ工房とのマッチングが幅広くできる。今も産地内で50社以上とのものづくりが動いています」

対するお相手はプロダクトデザインに加えてファッションアイテムの製作販売もおこなう、手嶋隆史さん。

プロダクトデザインは理詰めで合理的に構築していく仕事だが、手触りの残る製品づくりにも惹かれ、ファッションアイテムをつくるようになった。そこから、伝統工芸にも興味を持ったのだという。

「竹中さんの社屋内にあるあらゆる銅器をみて、磨きによって現れる鏡面的なツヤと、素材の化学変化による着色、それぞれの全く違うテクスチャーに強く興味を持ちました。それらを同居させるのもおもしろそうだなと」

手嶋さんの言葉に、磨きと着色を全くの別ジャンルとして見ていたことに気づいた。ふとした発想に、外からの視点ならではの新鮮さを感じる。

この日のアイディアはあくまでも初見のイメージによるもの。この先どういった経過をたどって新製品が生まれるのか、発想の変遷も興味深い。

 

佐野政製作所×Shy Shadow

デザイナーの芳村明さんはアメリカの美大を卒業後、20年間アメリカのプロダクト業界の一線で働いてきた。今年は「もっと日本を知りたい」と、各地での出会いを仕事に繋げながら、日本中をまわる1年なのだそう。

「アメリカでは体験できない、とても貴重な機会だと感じています。ものづくりを具現化してくれる工房がなくなってしまうと、デザインの仕事も成り立ちません。全力で取り組むので、僕のことをどんどん使ってもらえたら」

一方の佐野政製作所はオーダーメイド品の受注製作やオリジナルの数珠かけを製作するメーカー。ゲーム会社が製作するキャラクターを象ったトロフィーなど、「他で断られた」難しい案件が舞い込んでくることも多い。

工房に到着してすぐ目にしたのは、螺鈿、彫金、着色と、様々な加工が施された金属のマグネット。銅器産地内の様々な加工技術の見本として、各工房に依頼して作られたものだという。

「分業というのが僕はとても良いと思っていて。依頼に対して、期待値を超える仕事をしてもらえることが多い。ひとつの会社で全部できると、そうはならないんじゃないかな」と代表の佐野秀充さん。

マグネットをみて、数枚のスケッチを起こして持参してきた芳村さんも、つくりたいもののイメージが変わったという。

「スペシャリストの匠が集まっている、産地の力を感じました。表面の仕上げの種類など、もっと詳しくうかがっていきたいと思います」

 

高岡民芸、シマタニ昇龍工房 × 未音(ひつじおと)制作所

音楽家である若狭真司さんは、今回二つの工房との協働を行う。それぞれの工房に対してすでに豊かなイメージが描かれており、どちらの可能性も捨てがたいということで、イレギュラーながら二社との協働が行われることになった。(今回は残念ながら日程が合わず、ツアーには不参加。)

ツアーも佳境に入る中で一行が向かったのは、菅の田んぼ。高岡民芸を営む中山夫妻は、菅を栽培するところから加工までを一貫して行っている。

福岡(高岡市・旧福岡町)の菅笠は時代劇や全国の祭などの需要に対してシェア9割を誇るが、元が農閑期の内職だったことから工賃が安く、高齢化と後継者不足が深刻化。そんななかで、中山煌雲さんは産地唯一の若手として、アートピースとして飾りたくなる菅笠づくりに邁進している。

「やったらやっただけ報われる、すごく可能性のある分野だと思ってます。新しいことも自由にできるから、どんどんやっていきたくて」と中山さん。

もうひとつの協働先は、「シマタニ昇龍工房」。職人の数が全国でも10人に満たない「おりん」をつくる鍛金の工房で、今年は曹洞宗大本山・永平寺のおりんの修理も行なった。

おりんづくりにおいて何よりも重要なのが、「調音」という音の調整作業。音色に耳を傾けながら、金属を叩くことによって、心地良い響きを生み出していく。感覚で身につけるしかない、一子相伝で伝わる調音作業は、代表の島谷好徳さんでも身につけるのに12年ほどかかったという。

「絶対音感があるかと聞かれたりもしますが、ないです。聞き分けられるのは「おりんの音」だけ。音楽的な才能があるわけではないんです」と島谷さんは笑うが、おりんに楽器的な要素があることは間違いない。

そして、協働する若狭さんは音楽家である。おりんを楽器としてとらえた時に何が起きるのか、期待せずにはいられない。

丸一日かけて、全6軒の工房を巡ったCreators Meet TAKAOKA2020キックオフツアー。メーカー、企画問屋、素材の栽培から製品化までを一貫して行う工房など、さまざまな現場を訪ねることで、高岡のものづくりの層の厚みを実感する1日になった。

それぞれの工房の背景には、長い伝統を持つ産地全体の技術の集積がある。その経験値と、クリエイターの発想が出会った時、どんな化学反応が起きるのか。今後の展開に注目したい。

 

 

週末は、高岡で気軽にライブを楽しんで!ユニークベニューTAKAOKA 開催情報(出演者も随時募集中♪)

2020.11.06 UP

高岡市では、御旅屋セリオやウイング・ウイングで「ユニークベニューTAKAOKAオンまちなかステージ」を開催しています。市内外で活動するアーティストが高岡のまちなかをステージにパフォーマンスをするもので、音楽や踊り、伝統芸能など様々な芸術文化に誰でも気軽に触れることができます。

 

(過去の記事)

https://bunkasouzou-takaoka.jp/blog/2020/01/29/live_info-feb-mar2020/

https://bunkasouzou-takaoka.jp/blog/2020/07/08/cabletv_music/

 

今年度前半は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため公演を延期・中止していましたが、感染拡大防止策を徹底したうえで、9月からパフォーマンスを再開しています。ほぼ毎週末、まちなかで、アーティストによるステージを楽しむことができます。

11〜1月の出演予定アーティストは、民踊舞踊、薩摩琵琶、アコースティックギター、ハンドフルート、マジシャン&漫談家などと実に多種多様。

→詳細は高岡発イベント情報誌「iku・cha!」へ(PDFにリンク)

 

※なお、ご来場の際は、事前に下記リンク先の「新型コロナウイルスに関するお客様へのお願い」をご一読ください。

https://www.takaoka-bunka.com/events/event/covid-19/

 

「ユニークベニューTAKAOKAオンまちなかステージ」では、出演してくださるアーティストの方々も随時募集しています。日頃の取り組みの成果を披露してみませんか?

→詳細はこちら https://www.takaoka-bunka.com/uniquevenue_about/

 

 

 

 

 

 

 

工芸都市高岡を画面越しに楽しむスペシャルウィーク。市場街TVの番組スケジュールは要チェック!(10/17〜25)

2020.10.09 UP

先日お知らせした2020年のクラフト市場街の、多彩な番組ラインナップが出揃いました。今年は初のオンライン開催ということで、オンラインならではの創意工夫が盛り込まれています。

 

★前回の記事はこちら

どこからでも高岡とつながれる!今年の「高岡クラフト市場街」はオンラインで参加しよう(開催:10/17、10/18、10/24、10/25)

★全番組一覧はこちら

https://ichibamachi.jp/programlist1012

 

今回も、いくつかの番組をピックアップしてご紹介しましょう。

 

当日までの5夜連続!「ザ・おめでたズ」のヒヒによるラジオ番組

「おめでたズヒヒの市場街ラヂオ」

高岡を拠点に活動するラップバンド「ザ・おめでたズ」(https://thaomedetaz.tumblr.com/)。Spotifyの『バイラルトップ50(日本)』にて1位を獲得するなど、人気上昇中のアーティストです。

この番組では、「ザ・おめでたズ」メンバーの1人、ヒヒが当日までの5夜(10/12〜16)をゲストともに盛り上げます。ゲストは、伝統産業の職人さんや美術系大学生さん、高岡で活動するアーティストなど。トークに耳を傾けながら、市場街TVの開幕をワクワク待ちましょう!

https://ichibamachi.jp/program/omdetazu

 

土曜の夜は画面越しに乾杯!伝統工芸に関わる人々の素顔に触れる

「どこでも職人バー 職×酒」

10/17・24の土曜の夜のライブ配信。400年の歴史を受け継ぎ、高岡の伝統工芸に携わるプロフェッショナルたちが登場します。視聴者からの質問にも答えながら展開する出演者どうしの対談から、伝統工芸に携わる人々の仕事や生き方、おもしろ裏話を聞いてみませんか?お好きなお酒とおつまみを片手にどうぞ。

10月17日(土) https://ichibamachi.jp/program/shokuninbar1

10月24日(土) https://ichibamachi.jp/program/shokuninbar2

 

普段非公開の工房の手元にフォーカス!

「職人の手ワザ 配信カメラ 定点観職」

10/19〜23の平日もお見逃しなく。こちらの番組では、工房に設置された定点カメラから、普段公開されていない職人の皆さんのリアルな仕事風景を見ることができます。作業の解説はありませんが、ディテールまで写す高画質な動画とリアルな音から、職人さんの隣にいるかのような新感覚をお楽しみください。

https://ichibamachi.jp/program/teiten

 

いつもなら1つしか選べない見学コース、今年は全制覇も!

「高岡クラフツーリズモテレビ」

 

毎年大人気の工場・工房見学ツアー「高岡クラフツーリズモ」は、今年はトーク&ものづくり&バラエティ(?)番組として、工場・工房から生配信。企画から撮影まで、すべて職人が作り上げます。現場が直接見られない分、今年は特に職人の人柄にフォーカスし、普段の仕事に対する熱い思いからプライベートな素顔まで深掘りします。いつもは参加できるコースは1つだけですが、今年はVol.1からVol.5まで時間帯を変えて配信されますので、ぜひ全コースの制覇を目指してみてください。

Vol.1 https://ichibamachi.jp/program/ct1

Vol.2 https://ichibamachi.jp/program/ct2

Vol.3    https://ichibamachi.jp/program/ct3

Vol.4 https://ichibamachi.jp/program/ct4

Vol.5 https://ichibamachi.jp/program/ct5

 

◎クラフト市場街 #市場街TV https://ichibamachi.jp/

 

★全番組一覧はこちら     https://ichibamachi.jp/programlist1012

万葉びとのカラフルな衣装から、当時の歌人に想いを馳せる。「山口千代子万葉衣装展」、高岡市万葉歴史館にて開催中(〜11/30)

2020.10.02 UP

鮮やかな色の組み合わせや、遣唐使によってもたらされた大陸のエキゾチックな文様、艶やかなフォルムのもの、シンプルながらエレガントさを感じるもの・・・。

 

高岡市万葉歴史館に11月30日(月)まで並ぶ、これらの色鮮やかな衣装の数々は、奈良県在住の古代衣装研究家、山口千代子さんが文献などをもとに復元し、制作したもの。

 

柿本人麻呂が活躍した藤原京時代から、聖武天皇・光明皇后の天平時代、大伴家持の父の大伴旅人が開催し、新元号「令和」の典拠となった「梅花の宴」など、それぞれの時代に生きた万葉びとの衣装が、珠玉の万葉歌とともに展示されています。

高岡市万葉歴史館は、「万葉集」をテーマに全国初の専門博物館として1990年に開館。今回の万葉衣装の展示は、開館30周年を記念する特別企画として開催されているものです。山口さんの全面協力を得て、山口さんが新たに制作した作品を含む衣装20点と、万葉衣装に関連した資料 計48点を展示し、訪れる人々を魅了しています。

 

 

たとえば、上の写真は奈良時代の朝廷の重要儀式で高い位にあった貴族が着用した礼服で、「養老衣服令(ようろうえぶくりよう)」をもとに推定復元したもの。男性用は大伴家持をイメージしているそうです。

 

また、本展では万葉衣装に加え、大正末から昭和初期にかけて正倉院宝物の修理と模造製作にたずさわった工芸家の吉田包春(よしだ・ほうしゅん)による「子日目利箒(ねのひのめどきのほうき)」(儀礼用の箒)と、その台「粉地彩絵倚几(ふんじさいえのいき)」などの正倉院宝物の複製品も初公開されています。

 

万葉歴史館の研究員、新谷秀夫学芸課長はこの展覧会の見どころについて、「高松塚古墳の壁画をもとにした衣装や、大伴家持の時代の天皇・皇后から庶民も含めた万葉びとたちの衣装を、歌とともに展示しています。カラフルな衣装を通して、万葉びとたちの歌ごころに思いをはせてもらえればと思っています」と話しています。

 

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開館30周年記念 秋の特別企画展

「山口千代子 万葉衣装展」

【開催概要】

・会期:2020年9月2日(水)〜11月30日(月)

・会場:高岡市万葉歴史館(高岡市伏木一宮1−11−11)

・開館時間:9〜18時(入館は17時15分まで)※11月は17時閉館 (入館は16時15分まで)

・休館日:毎週火曜日(11月3日は祝日開館、翌11月4日は休館)

・入館料:一般 300円、中学生以下 無料、65歳以上 240円

・お問い合わせ 高岡市万葉歴史館 TEL 0766-44-5511

 

◎高岡市万葉歴史館 https://www.manreki.com/

 

◎高岡市公式ホームページ(「万葉のふるさとたかおか」紹介ページ)

https://www.city.takaoka.toyama.jp/bunsou/furusato-manyo.html

 

 ★当企画展は、地域の特色を生かし、「日本の美」を体現する内容として国内外に発信するものにふさわしいと認められ、大型国家プロジェクトである「日本博」の認証を受けています。
富山県内では、「大澤光民の世界ー人間国宝としての歩みー」と「山口千代子 万葉衣装展」の2つ(いずれも高岡市で開催)が展覧会として県内初の認証となりました。

https://japanculturalexpo.bunka.go.jp/

音楽法要、ミニ法話、僧侶DJ、そしてよみがえった大伽藍の紹介も。第3回ふるこはんフェス、9/27にオンラインで配信!

2020.09.18 UP

「ふるこはん」とは、高岡市伏木にある真宗寺院、雲龍山勝興寺のこと。地元の人たちが親しみを込めて呼ぶ愛称です。

もともと、本願寺八世蓮如上人が1471年に越中の布教の拠点として開き、真宗王国・越中における代表的寺院のひとつとして重要な役割を担ってきました。現在の場所に移ってきたのは1584年のこと。本堂をはじめとする12棟の建物が国の重要文化財であり、地域の宝物として大切にされてきました。

 

この勝興寺、1998年から20年あまりに渡る大規模な「平成の大修理」が行われていましたが、2021年春にようやく全面公開となります。

「ふるこはんフェス」は、よみがえった勝興寺が地域に開かれ、より多くの人が訪れるようにとの思いから始まったイベントで、今年で3回目を迎えます。

今年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、インターネットおよび高岡ケーブルネットワークでの中継放送を中心に開催することとなりました。

プログラムの一部をご紹介します。

 

★シンセサイザー演奏と声明・雅楽のハーモニーが美しい

「音楽法要」(オンラインまたは事前予約にて来場)

富山県西部地区の若手僧侶たちによるもので、伝統的な音色と現代的な音色が調和する荘厳な響きが心地よく本堂を包み込みます。

※人数限定・事前予約制にて、来場して参拝することもできます。お申し込みは https://www.furukohanfes.com/ongaku-hoyo から。

 

★仏教の教えに触れて日常に活かす

「ミニ法話」(オンラインまたは事前予約にて来場)

法話とは、仏の徳を味わい、喜びをともに分かち合うためにわかりやすく解説するもの。普段仏教に馴染みのない方にも親しみやすいお話をお楽しみに。

 

※人数限定・事前予約制にて、来場して参拝することもできます。お申し込みは https://www.furukohanfes.com/dharma から。

 

★よみがえった往時の大伽藍を解説付きでリモート観覧

「勝興寺ツアー」(オンラインのみ)

国の重要文化財に指定されている勝興寺の建造物を世界のどこからでも見ることができる、オンラインツアー。

 

 

また、過去2回の「ふるこはんフェス」でも人気のコンテンツ「僧侶DJ」については、先行してオンラインストリーミングサービスにて配信中です。DJKこと河上朋弘さん(琳空山 慶集寺住職)が特別にセレクトした音楽を、何度でも楽しめます!(当日のライブ配信はありません)

河上朋弘さん

 

ストリーミング配信はこちらから。→ https://www.furukohanfes.com/souryo-dj

 

その他、配信時間や他のプログラムも含めた詳細は、以下のリンク先をご覧ください。

(配信時間・他のプログラムを含む詳細はこちら

 

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「第3回 ふるこはんフェスONLINE」

【開催概要】

・日時:2020年9月27日(日)13〜18時

・場所:伏木・雲龍山 勝興寺(オンライン配信イベント)

・お問い合わせ 高岡市歴史文化推進協議会 事務局

       (高岡市教育委員会生涯学習・文化財課内) ℡0766-20-1453

 

【視聴方法】

高岡ケーブルネットワークのYouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/channel/UCViEINl4jn95elupZZPk__w)と、コミュニティチャンネル(チャンネル9)で放送します。

※YouTube配信とコミュニティチャンネルでの放送は開始時間が異なります。詳しくは特設サイトをご覧ください。

 

◎特設サイト   https://www.furukohanfes.com/

◎雲龍山 勝興寺 https://www.shoukouji.jp/

 

★昨年の記事

音楽ライブから坊主カフェまで。国の重要文化財で行われる、まちと人を巻き込む寺社フェス! 9/29 雲龍山 勝興寺(高岡・伏木)

 

 

 

人間国宝として現在唯一富山県内で活躍する作家・大澤光民氏の、軌跡と挑戦に触れる大規模回顧展、高岡市美術館で開催中!(〜10/18)

2020.09.18 UP

高岡には、富山県内で現在唯一活躍する人間国宝(重要無形文化財保持者)の作家がいます。それが、大澤光民氏。高岡を代表する金工作家です。

 

 高岡市美術館で開催中の「大澤光民の世界 -人間国宝としての歩み-」は、人間国宝認定後、10年余りの軌跡を含めた初めての回顧展。若き日の作品も含め、宇宙や生命の根源など、壮大で人間愛あふれるメッセージが込められた多彩な作品を鑑賞することができる特別な機会です。

 

1941年に高岡市下伏間江に生まれた大澤氏は、高岡銅器の伝統技法の1つ、焼型鋳造技法(※1)に習熟し、1980年に「鋳ぐるみ」技法(※2)という独自の金属の鋳造技法を考案。2004年に「現代の名工」として表彰されたのち、2005年に鋳金の人間国宝に認定され、高岡の伝統工芸全体を牽引してきました。

大澤光民氏(2020年7月撮影)

 

 大澤氏の作風は、「鋳ぐるみ」技法によってもたらされる、偶然性でできた模様が奏でる有機的な温かさと、現代的で洗練された美しさの共存が何よりの特徴。

 

<<鋳ぐるみ花器「宙擁(ちゅうよう)」>>2015年 個人蔵

 

《鋳ぐるみ鋳銅花器「地から宙(そら)から」》2014年 高岡市鋳物資料館蔵

 

《鋳ぐるみ鋳銅花器「大宙(おおぞら)」》2018年 個人蔵

 

 特に今回の展示で注目したいのは、大澤氏がこの展覧会に合わせて若い職人とともに制作した最新作。大澤氏の尽きない創作意欲と新たな挑戦を知ることができます。また、大澤氏が監修を務め、5年の歳月をかけて2018年に完成した「平成の御車山」の制作についても紹介されています。

 

当展にあわせて制作された最新作

 

1つ1つの作品の奥から感じられる深遠な世界と、金属工芸に向き合い続けてきた大澤氏という人物の魅力を、ぜひこの回顧展から感じてみてください。

 

 

★新作制作の取組みの様子は高岡市デザイン・工芸センターのニュースレター最新号に掲載されています。大澤光民氏のインタビューのほか、ともに制作に取り組んだ若い職人たちの声も紹介。こちらもあわせてご覧ください。 https://www.suncenter.co.jp/takaoka/movin/pdf/newsletter6.pdf

 

★当企画展は、地域の特色を生かし、「日本の美」を体現する内容として国内外に発信するものにふさわしいと認められ、大型国家プロジェクトである「日本博」の認証を受けています。
富山県内では、「大澤光民の世界ー人間国宝としての歩みー」と「山口千代子 万葉衣装展」の2つ(いずれも高岡市で開催)が展覧会として県内初の認証となりました。

https://japanculturalexpo.bunka.go.jp/

 

※1.「焼型鋳造法」とは、真土(まね)と呼ばれる土で鋳型を作り、約900℃で焼いたのち、約400℃に冷ましてから溶解した金属を流し込む技法。  

※2. 鋳型に予めステンレス線や銅線などの金属線を釘で固定し、溶けた金属を注ぎ込む。焼型鋳造によって鋳型を焼き上げるときに、打ち付けた金属線が動いたり膨張したり金属の種類によって地金に溶け込んだりするため、象嵌(ぞうがん)とは異なる偶然の味わいをもつ文様を創り出すことができる。これにより、大澤氏は鋳金の世界に新たな加飾表現を生み出した。

 

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チューリップテレビ開局30周年記念

「大澤光民の世界 -人間国宝としての歩み-」

【開催概要】

・会期:2020年9月11日(金)~10月18日(日)

・場所:高岡市美術館(高岡市中川1−1−30)

・開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30まで)

・休館日:月曜日 ※9月21日(月祝)・22日(火祝)開館、9月23日(水)休館

・料金:一般1,000円、高校・大学生500円、中学生以下無料

・お問い合わせ 高岡市美術館 ℡0766-20-1177 fax0766-20-1178

 

【関連行事】

☆いずれも事前申込制・聴講無料

①記念講演会「大澤光民氏と村上隆館長による対談」

9月26日(土)

 〔第1部〕午後2時~午後3時30分≪満員御礼≫

 〔第2部〕午後3時45分~午後4時45分

 

②担当学芸員が語る「大澤光民の世界」

10月10日(土)午後2時~午後3時

 ※申し込みは電話にて、住所・氏名・電話番号を美術館へ。

 

◎特設サイト

https://www.tulip-tv.co.jp/oozawa/

 

◎高岡市美術館

https://www.e-tam.info/