人と出逢い、技の文脈を知る旅【クリエイター向けモデルツアーin高岡(2019.11.22-23)レポート#1】
気持ち良い秋晴れの週末に、クリエイター向けモデルツアー「Creators Meet TAKAOKA」を実施しました(主催:高岡市)。広くものづくりに携わる人に向けて、高岡の職人技や歴史文化を紹介。街や伝統産業の活性化を目的に、新しい出会いや協業の可能性を探ってもらうことを目的にしたものです。
10月に渋谷ヒカリエで開催したトークイベント(>>詳細<<)で参加者を募集。プロダクトデザイナー、ソフトエンジニア、ロボットの素材開発、クリエイティブディレクター、百貨店の新規事業企画など、さまざまな分野でものづくりや企画に関わる12名の方に参加いただきました。
今回のツアー参加の目的は、協業先を探してという直球のところから、東京と二拠点生活のための場所を探している、高岡の職人のファンであるといったところまで多種多様。なかには、すでに工芸ハッカソン(>>詳細<<)を機に、高岡の職人とのものづくりを始めているという方もいました。
ときに真面目に、ときに笑いをまじえながら進んだ濃密な二日間の様子を、今回のツアーに同行していただいたライターさんのレポートで紹介します。
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01.高岡の職人たちの人を惹きつける魅力
結論からいうと、参加者たちに何よりも響いていたのは高岡の職人の姿だった。
「率直に言うと、一緒にものづくりをしたいと思いました。今はハードウェアでもソフトウェアでも簡単にコピーできてしまいます。その点、職人技にはオリジナリティがある。たとえば、ただ漆を塗るだけでは付加価値はつきませんが、工芸の技が機能と結びついた時に大きな差別化ができるのでは(ロボット開発・ソフトエンジニア)」
今回うかがった工房は、高岡銅器の能作、シマタニ昇竜工房、momentum factory Orii、高岡漆器の武蔵川工房の4つ。
それまで世になかった錫100%の製品開発で飛躍的な成長を遂げた能作では、ベテランから若者まで様々な世代の職人がいきいきと働く姿を目の当たりにした。照明やサイン計画といった細かなところまでデザインがいきとどき、整理整頓された工場の中を歩いていると、工場や職人という言葉のイメージがみるみる更新されていく。
シマタニ昇竜工房はお寺等でつかわれる「おりん」をつくる鍛金工房。日本に10人も満たない「おりん」職人の島谷さんは、「おりん」を楽器としてとらえ海外の展示会等で提案しているという。専門機関に分析を依頼したところ、音色の心地よさには科学的根拠があることもわかった。島谷さんの穏やかな話しぶりからはおりんづくりへの深い愛情が伝わってきた。
「職人さんの仕事には価値の高さゆえの壁みたいなものを感じていたんですが、おりんを楽器としてとらえたらどうなるかとか、要素を分解していって、自分も可能性を考えて良いんだと思いました。自分で勝手に作っていた壁をとりはらってもらった感じがします(広告会社・クリエイティブディレクター)
金属の化学変化を応用した着色の工房momentum factory Oriiでは、実際に金属の色を変化させる体験をさせてもらった。近年は薄い銅板への発色法を確立させ、建築やインテリアの領域に大きく躍進しているOrii。溌剌とした折井さんのたたずまいは、生業を持つ人ならではの魅力に満ちていた。
「金属の自然な変化を製品にするという姿勢に共感して、製品作りを一緒にやりたいと思いまし た。デザイナーに対してもオープンな姿勢が感じられて嬉しかったです。依頼の前に技術を知っておくことの重要性も実感しました。(デザイン会社・プロダクトデザイナー)」
武蔵川工房は螺鈿(らでん)細工を特徴とする高岡漆器の工房。0.1mmの薄さの貝を扱う繊細な職人技には誰もが思わず息を飲んだ。貝はとても貴重なものだから、作業の中で出る端材も全てとってあるという武蔵川さん。さっそく素材開発に関わる参加者が、ぜひ用途を検討してみたいとサンプルを持ち帰る場面もあった。
伝統の技を継ぎながら新しい商品開発、新たな領域に取り組む姿勢。何より「ものづくりが好きだ」と伝わってくる温度感。
「自分の手でものを生み出す職人は格好いい」
「一緒にものづくりがしたい」
「また会いに来たい」
工房に足を運ぶごとに、参加者たちの高揚感がひしひしと高まっていくようだった。技術はもちろん重要だけれど、人を動かすのは人なのだ。
「職人さん達とは都内の展示会等での面識がありましたが、ホームでお会いすると、ずうっと格好いいですね。やっていきたいことへの想いがあって、伝統的なことから脱皮していきましょうっていう姿勢があって。ぜひ何らかの企画を具体化したいと思います(百貨店・新規事業企画)」
(同行ライター・記)
>>ツアーはものづくりを支えるファクター、行政やお寺の見学も!後半へ続きます。
人と出逢い、技の文脈を知る旅【クリエイター向けモデルツアーin高岡(2019.11.22-23)レポート#2】
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【information】
Creators Meet TAKAOKA
◎日程:2019年11月22日(金)~23日(土)
◎実施場所:富山県高岡市
◎参加人数:11名
◎訪問先:能作(鋳物)、ウィン・ディー(デザイン・モックアップ製作)、シマタニ昇龍工房(鍛金)、富山県総合デザインセンター/高岡市デザイン・工芸センター、武蔵川工房(螺鈿細工)、momentum factory Orii(金属着色)、金屋町、飛鳥山善興寺、勝興寺、雨晴海岸、山町ヴァレー
主催:高岡市
企画運営:一般社団法人 富山県西部観光社 水と匠 https://mizutotakumi.jp/
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