高田製作所は、高岡銅器の仏具や洗練されたインテリアブランドの製造で知られる鋳物の企業。同社副社長の高田晃一さんにご案内いただいたのは、新しく社内に完成したショールーム。まるで、カフェのようなお洒落なスペースになっていますね。
「ここはお客さまやデザイナーさんとの打ち合わせの場。3Dプリンターや商品見本を揃え、壁には真鍮やアルミ、銅など、さまざまな素材の仕上げ見本をディスプレイしています。どの素材で、どの仕上げでいきますか、といったお話がスムーズにでき、ダイレクトなものづくりができるようになっているんですよ」
床やテーブルには日本初のアルミ鋳物製のタイルの自社ブランド、「アルデコール」のタイルが敷き詰められ、とても洗練された雰囲気。カウンター内のショーケースには「シロカネ」のアクセサリースタンドやカップ、ナッツプールなど人気商品が並びます。ミラノサローネやメゾン・エ・オブジェ、アンビエンテなど、国内外の展示会にも積極的に出展してきた高田さん。高田製作所は高田さんの祖父が戦後に創業し、仏具の製造で発展の礎を築いた会社でした。
「私で六代目なのですが、初代の高田恵圃は江戸末期に京都で学び、高岡銅器や高岡漆器、仏壇の図案なども手がけた絵師。高岡初の本格的な町絵師と言われる堀川敬周の愛弟子でした。二代目は象嵌彫刻師、三代目は鋳物職人、四代目の祖父がこの会社を創業。父の代からは工業化を進めてきました。そして、私はアルミなどの素材を取り入れ、技術的にも内製化を進めています。数々の困難もありましたが、常に積極的に挑戦してきました」
高田製作所では素材となる金属を自社内で精錬し、より良い素材づくりにこだわっているのが特長です。また、鏡面研磨など、高度な磨きの技を持つ職人は35人の社員のうち20人。高い技術と最新の3Dやレーザー技術を融合しながら、時代の最先端を行く製品を次々と生み出しています。
高田さんは経営にあたりながら、新しいプロジェクトを立案・推進するプロデューサーでもあります。また県内外、国内外の多くの人との交流が、次のものづくりの起点になっています。地域や首都圏の人との出会いから、アクセサリースタンドやナッツプールには富山県と岐阜県境の間伐材が使われるようになり、商品化が実現。また、ディズニーなど、世界的なブランドとのコラボにもつながりました。高田さんのモットーは「モノをつくることは、人を愛すること」だといいます。
「最大公約数のものづくりではなく、誰かを愛するようにものをつくりたいですね。人に寄り添ったものづくりで、役に立つことが何よりの喜びです。目標はロングセラー商品を開発することによって、高岡の技術のDNAを未来へ運ぶこと。まさに、自分の人生をかけた大きなテーマなんです。」
※肩書は取材当時のものです