まちを想い、人と人とをつなぎながら。

学生生活を通して

見えてきたものとは。

職人さんの現場も学びながら、ものづくりのアイディアを練っていく

クリエイト党の作品。試作を重ね、職人さんとのコラボでバラエティ豊かな作品が生み出される

伊藤芽衣さんは、高岡にある富山大学芸術文化学部で、人と物とのつながりや、人と人とのつながりをデザインする「コミュニケーションデザイン」を中心に学ぶ大学四年生です。学生団体「クリエイ党」で活動し、三年生の夏までは代表も務めるなど、高岡のまちとも関わりを持ちながら学生生活を送ってきました。

「クリエイ党」は高岡の職人と学生が一緒にものづくりをする団体で、ただ楽しく作るだけでなく、毎年高岡クラフトコンペで入選・入賞することを目標に掲げています。伊藤さんが代表になってからは、毎週職人さんやクリエイ党のメンバーがプレゼンをすることにより、お互いのことを知り合う時間を大事にしています。

高校時代に通った画塾では「コンセプト」の必要性を痛感し、「コンセプトメイキング」を学べる富山大学芸術文化学部のデザイン情報コースへ進路を決めたという伊藤さん。「クリエイ党」に入ったのも、コンセプトメイキングから実際にものをつくるまでの一通りを行えることに魅力を感じたからだそうです。

「入学したときは、グラフィックデザインをやりたいと思っていました。でも、クリエイ党に入ってからは、何のためにそれを作るかということや、ものを作るときの軸になる部分が大事だと知り、平面のデザインにこだわらなくてもいい、と思うようになりました。」

代表になったのは二年生の夏から。代表というお役目をいただいていたからこそ出会えたつながりがあったり、メンバーの気持ちを汲みながら組織を動かす難しさを感じたり。運営、ものづくり、広報など、全ての役割をこなし、人とコミュニケーションをとりながら物事を進めることの楽しさを知り、「コミュニケーションデザイン」を自分の専門にしよう、と考えるようになったのだといいます。

「クリエイ党は、職人さんも関わっていただいていたので、ただ自分の好きなものづくりをしていればよいのではなく、高岡のことも考えて活動していくことが大切でした。そこにみんなの思いをどう向けていくかに悩みました。私が上から何かをいうのではなく、できるだけみんなの意見を集約し、みんなで議論しながら答えを出していくことを心がけました。」

2017年3月に卒業予定の現在、高岡の伝統産業をテーマにした卒業制作に取り組んでいます。春からは、東京の建築系の会社に就職する予定です。「将来はソフト・ハードの両面での場づくりをやっていきたい、いつかまた高岡と関わる仕事がしたい」と目を輝かせながら語ってくれました。そこには、高岡で出会った職人さんからの、「(幅を広げる意味で)県外に出て、のちのち高岡と関わるような仕事をしてほしい」と声をかけていただいたことも影響しているようです。

「高岡で4年間過ごして、尊敬する人たちにいっぱい出会えたことがとてもよかった。そういう人たちといつか対等にお仕事したいと思うと、就職に対してもすごく前向きなんです。今は、この人たちに追いつけるようにがんばらなきゃ、という気持ちでいっぱいです。」

※肩書は取材当時のものです

クリエイ党

E-mail:creatou00[at]gmail.com([at]を@に変えてください)

http://creatou.wixsite.com/creatou https://www.facebook.com/creatou/

大学生

伊藤芽衣/MEI ITO

富山大学 芸術文化学部

【Profile】

山形県出身。平成24年富山大学芸術文化学部に入学し、デザイン情報コースで学ぶ。その傍ら、学生と職人が一緒にものづくりをする学生団体「クリエイ党」の代表を務めたり、クラフトをまちじゅうで楽しめる秋のイベント「高岡クラフト市場街」のコンシェルジュを務めたりと、高岡と深く関わる学生生活を送っている。